20ｘ20㎝

2023年

モハメッド Z ラーマン (1997 年生まれ)は、ロンドンを拠点とする英国系ベンガル人のアーティスト兼文筆家。ラーマンは、社会政治的な歴史と個々人の歴史を、極めてパーソナルな状況を描く事で紡ぎ出す。本作品が属する「夜行性の省略」シリーズは、暗い水景の中に浮かび上がり遠くの街の街頭に映し出される自画像を描いたシリーズである。中心には、不穏な物語の真っ只中に置かれたかのようなラーマンがパジャマを着て不安げに水面に浮かんでいる。作家の住むロンドン、そして彼の故郷バングラデシュのスナムガンジ地区、本作品が展示された香港の象徴的な海洋風景など、曖昧ながら典型的な街の風景を混ぜ合わせたかような背景に、都市環境がもたらす人間活動や乱獲による水質汚染によって、生態学が抱える心理的な緊張関係を描いている。