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無題

桂 ゆき

37.9x45.5㎝

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桂ゆき(1913-1991)は、戦前の東京アートシーンに台頭し、戦後には確固たる立場を確保、日本の前衛芸術の中心的な人物となった。男性優位の社会における前衛女流作家の先駆けとなった桂は、もともと日本画を学び、藤田嗣治と東郷青児の手引きによってヨーロッパの抽象画に触れる。戦前の桂作品は、独創的なコラージュや集合体で構成され、批評家から高い評価を得た。戦後は、桂の関心は主に女性の権利や原子力などの社会が抱える問題へと移行し、風刺画や戯画的かつ寓話的な表現が多く見られるようになる。 桂は1956年に日本を離れ、まずヨーロッパで調査と展示を行い、その後ニューヨークにスタジオを設立した。西洋の前衛作家グループとも熱心に交流を深め、イヴ・クライン、ミシェル・タピエ、サム・フランシス、フランツ・クライン、ルイーズ・ネヴェルソンらと親交があり、当時ニューヨークに在住していた草間彌生とも交流があった。 1961年に帰国した後も、1991年に亡くなるまで精力的に制作活動を継続した。

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